漢方治療で美肌に

■肌トラブル別の漢方薬の使い方
漢方医学には、表裏一体という基礎概念があります。
体の中(裏)と美容(表)は密接につながっていると考えられています。
着飾っても、体の中が健康でないと本当の美しさは得られないのです。
気・血・水の調和が崩れかけた状態は病気になる手前で、漢方ではこれを未病といいます。
未病とは、健康と病の中間の状態を指します。
未病の段階で改善に努めておくことが、体と肌にとって大切です。
また、漢方薬というと、効き目が遅く、飲みにくく、値段も高いというイメージがありますが、それは誤解です。
効き目が遅いというのは、慢性化している症状のときです。
体質改善と必要とする場合などは、長期にわたって服用する必要があります。
しかし、風邪のときに用いる葛根湯をはじめ、下痢などの急性の症状にも、数分で効く漢方もあります。
飲みにくさもかなり改善され、値段も保険が適用されるようになって、問題なくなりました。
ただ、体質に合わないものを使ったときは、副作用がでることもあります。
持病がある人はとくに、医師や専門家に処方してもらいましょう。

■気虚
補注益気湯(ほちゅうえっきとう)・・・別名、医王湯ともいわれ、虚弱体質改善の代表処方とされています。
色白、水太りで、疲れやすい人への処方です。
声に力がない、手足に力が入らない、食後すぐ眠くなる、風邪を引きやすいなどの症状も、この処方の目安になります。
アレルギー体質や皮膚の弱い人には長期間にわたって服用をすすめ、根本的な改善をはかります。

六君子湯(りっくんしとう)・・・胃腸虚弱による気虚に有効な処方です。
胃腸の機能が低下すると、食べたものが効率よく気に変わることができないため、食べても元気がでないなどの症状があらわれます。
胃腸の働きを高める漢方は多種類あります。
とくに六君子湯は食後の胃もたれ感が強い人に有効です。

十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)・・・気が足りないため、慢性的な疲労感があったり、血虚による皮膚の乾燥をともなうときなど、気虚、血虚をあわせ持つ人のために処方です。

■気滞
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)・・・気うつの代表処方です。
不眠、頭痛、ストレスからくる胃の痛み、ストレス性のニキビなどに効果があります。
のどに何か詰まったようか、引っかかったような感じがするというのがこの処方の代表的な症状です。
ほかに、さまざまな神経の細かなストレス症状に広く用いることができます。
ストレス性や肌あれやニキビなどにも効き目があります。

抑肝散(よくかんさん)・・・イライラ感や不眠、手足のふるえといった症状があり、もともと虚弱な体質の人への処方です。
ストレスにより生じるイライラ、不眠などの神経症状からくる肌あれにも効果的です。

■血虚
四物湯(しもつとう)・・・血虚を改善するための代表的な処方です。
皮膚科では、主に皮膚の乾燥、かゆみに用いられます。
単独で用いられることは少ないです。
瘀血の改善剤と組み合わせて、皮膚の改善をはかります。

芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)・・・血虚からくる疲労倦怠感が強く、どちらかというと30代半ばすぎで、肌が乾燥してつやがないタイプに効果的です。
痔出血や不正出血など、出血に対して止血剤としても働きます。

■瘀血
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)・・・非常に応用範囲の広い、ポピュラーな処方です。
瘀血、血虚、水毒が重なったような、体質の人への処方です。
月経不順や月経痛、不妊や流産癖、つわりなどに有効です。
婦人科的な機能向上作用もあります。
別名安胎薬とも呼ばれています。

加味逍遙散(かみしょうよさん)・・・体力的には中間くらいのタイプに用いられます。
瘀血からくる症状、生理前や更年期にそれが悪化するような女性にみられる症状に有効です。
便秘勝ちの人に適していて、極端に胃腸虚弱な人は下痢をすることがあるので、服用には注意が必要です。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)・・・瘀血体質の代表処方とされ、瘀血によるニキビ、湿疹、肌あれがあり、比較的体力のある人に多く用いられます。
冷えやのぼせがあったり、生理前に下腹部が張って痛む、月経量が多く固まったようになる人に最適です。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(登記しぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)・・・大人になっても冬にしもやけができたり、夏でも靴下が手放せないというような、極端な冷え性の人に用います。
このタイプは、温めることで症状が緩和されるという傾向があります。
そのうえ、体力的に虚弱で、皮膚も弱いことが多いので、長期にわたって服用することで、肌の調子が改善されて、体調もよくなります。

当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)・・・どちらかというと痩せ型で冷え症の、幼いころからおなかが弱く、大人になっても胃腸が弱いようなタイプに人に用います。
数ヵ月服用することで、このタイプに多くみられる月経不順などが改善されます。
胃腸が強くなって、皮膚のトラブルも改善されていきます。

温経湯(うんけいとう)・・・皮膚科では、ニキビ、湿疹など幅広く処方されます。
手足がほてる、指先や唇が割れるなどの症状を持つ人に処方されます。
婦人科の手術歴のある人の瘀血にも向いています。

■水毒
五苓散(ごれいさん)・・・利尿剤としての代表的な処方です。
水毒からくる頭痛・めまい、むくみ、二日酔いにも有効です。
水疱やジクジクした湿疹に用います。
ただし、体を冷やす作用もあるので、冷え性タイプには用いません。

真武湯(しんぶとう)・・・末端だけじゃなく、全身的な冷え性というタイプに用います。
とくに加齢による新陳代謝の低下と改善する効果があります。
皮膚科疾患だけでなく、体質改善剤として幅広く使われる処方です。

半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)・・・胃腸が弱く、すぐもたれたり吐き気がするようなタイプで、頭痛、めまいなどの水毒症状を伴う場合に効果的です。
気虚症状を改善する効果があります。


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